これは長くなりますね…(そもそも私の記事は長くなりがちですが)
そもそも一国の歴史です。現実世界の国の歴史がそうであるように、1口には語れない。しかし、やってみましょう。
まずは王国の歴史について触れているゲーム内外の資料について触れてみましょう。
それより前に、孤島から暴風域・原罪は王国の「7つの地方」であることに言及しなければなりません。これは各所で触れられます。たとえばストアの紹介文でも書かれていますし、ヘルプにも暴風域が7つ目の地方であることが書かれています。オープニングでも何回か言及されます。なにより「地図」を見れば、それぞれの地方がそれぞれ「別の場所」であることがわかるはずです。
それぞれ別の場所である王国の7つの地方。それらのうち孤島から書庫までは以下の6つの時代がテーマとして割り当てられていることが分かっています。
これについてはGnomon Schoolの講演(https://youtu.be/FwcNVlpymNk (英語))(書き起こしと和訳はこちら→https://wikiwiki.jp/archeosky/Gnomon%20School%20%E8%AC%9B%E6%BC%94%E8%B3%87%E6%96%99 )でのYuiさんの言及が詳しいです。
孤島:原始的で、技術はほとんどない
草原:文明がまだ自然と、つまり植物や動物と調和して生きている
雨林:工業化が始まったばかりで、テクノロジーの発展が見られる
峡谷:文明のピーク。豊かな資源を利用し、たくさんの物を蓄え、たくさんの物を作り、楽しんでいる
捨てられた地:(峡谷時代に)やりすぎて文明が衰退している
書庫:文明が崩壊した後、人々ができる限りのものを集め、生き延びようとしたり、次の世代のために何かを残そうとしたりする
また、2020年のGDC SummerでのYuiさんの講演では、(講演そのものの動画がないことは口惜しいですがその資料が乗っている記事はこちらにあります→https://www.4gamer.net/games/394/G039457/20200813053/ )
孤島:原始的
草原:自然との調和
雨林:工業化
峡谷:文明のピーク
捨てられた地:終末
書庫:終末後
に対応しています。
ゲーム内での描写を見ていきましょう。
まず最初に見るのはオープニングでしょう。
「我らの始まり、それはやがて星々のもとへ還る喜びを胸に生きていました」
「ともに、我らは雲の中に王国を築きました
そして星の光を使い七つの地方をつないだのです」
「しかし次第に空に闇がしのびより
王国は砕け散ったのです」
これがオープニングで語られる王国の歴史です。
とはいえ、ここからわかるのは最初の頃の精霊たちが星を特別視していたこと、次に7つの地方のある王国を雲の中に作ったこと、闇が来て王国が砕け散ったことくらいです。
ただ、特筆すべきところがひとつあります。最後の「砕け散ったのです」はわざわざ太い赤字で強調して書かれています。英語版オープニングでこれに相当するのは「shattered」。砕ケル闇ノ季節の英語版は「Season of Shattering」です。つまり、砕ケル闇ノ季節と王国の終わりは関連があるのではないかと推測できます。
砕ケル闇ノ季節の最後の「いにしえの追想」では、大精霊が原罪の大きなダイヤに見えるものから弾き飛ばされる様子が描かれます。つまり、王国末期に大精霊に何かが起こった可能性が高いのです。
それを裏付けるように、オープニングの続きでは、初めて星の封印に近づいた時、神殿に行った時、草原に入った時このような言及がされます。
「このような星の封印は、かつて王国の各地方をつないでいたのです
この封印の先に見えるは神殿、大精霊たちが精霊たちを導き、星へと還していた場所です
ですがその大精霊たちも落ちて久しい…」
「祭壇に光を灯し、この神殿の大精霊を目覚めさせましょう」
「7つの地方で、他の大精霊たちも目覚めの時を待っているでしょう」
つまり大精霊は昔は神殿で精霊たちを星に還していて、今はなんらかの原因で「落ちて」眠りについている、そして精霊たちを星に還せない状態にあるということがわかります。実際祭壇に火をつけて瞑想すると、精霊たちは天に昇り、地方の星座を構成する星の1つになります。裏を返せばそれまでは星座に現れません。最初の頃精霊を解放しても神殿に行くのを忘れてアイテムが交換できなかった星の子も多いのではないでしょうか。
他にメインストーリー内で王国の歴史に触れているのは書庫の大精霊ムービーの絵です。
…が、説明すると長くなる割にはあまりめぼしい情報がないのでほぼカットします。
最後の絵だけ触れておくと、書庫の星座から絵が現れた後に、他の絵よりも上に王冠の星座が現れます。

そこから現れるのは、なにか巨大な建造物を背景に、王冠を被り、何か丸いものを飲み込もうとするとてつもなく大きな存在と、それを拝む精霊たちの絵です。

その後ムービーが終わって暴風域への門が開きますが、暴風域の後半で絵の背景にあるのと似たような建造物が見られます。

王国には「7つの地方」があることを踏まえ、この絵は暴風域(+原罪)に対応し、巨大な人影はその地方の大精霊、そして絵が他の地方より上に現れること、王冠を被っていることから通常の大精霊よりも上の存在、Skyという王国の「王」であるのではないか、と推測されています。
ここで先にSkyの歴史に関する私の見解をまとめておきましょう。
孤島時代:精霊は舟を使う術を覚える(AURORAバーチャルコンサートより)が、技術はほとんど持たない(Gnomon Schoolでの言及より)。光や星が崇められている。王子が誕生する(預言者の季節より)。
草原時代:精霊は光の生物から光を分けてもらい(笑う光採取者精霊などの記憶より)、それによって生活している。生物たちと精霊は調和している(Gnomon Schoolでの言及より)
雨林時代:鉱石が発見され、ダイヤが発明される(旧バックストーリー案及び雨林の大精霊のムービーのBGM名「The Invention(発明)」より)。精霊たちの欲が深まるが、まだ生物との関係は保たれている(AURORAの季節・バーチャルコンサート)。
峡谷時代:王子が戴冠し、王になる(旧バックストーリー案コンセプトアートより)。力を持った王は独裁化していく。精霊たちはダイヤによって文明を著しく発展させる(峡谷全般の様子より)が、同時に欲深くなって生物を利用対象と見るようになり、生物と精霊の攻防が始まる(AURORAバーチャルコンサートより)。光が濫用され、それによって峡谷の気温は急激に下がっていく。精霊は何らかの基準でふたつに分かれる(赤と青の旗より)
捨てられた地時代:精霊の欲はさらに深まり、同じ精霊同士ですら疑心暗鬼になっていく(追慕の季節より)。やがてそれは王国が始まって以来おそらく初めての争いへと発展し、その後も何度も戦争が起きる(AURORAバーチャルコンサートなどより)。生物は完全に光を搾取するための対象となる。空気、水、そして心、全てが汚染され、「闇の生物」が生まれる(AURORAの季節より)。王は独裁によって自らを崇めさせ権力欲を満たそうとするが、自らの老いに気づいた王はこれを恐れ始める(捨てられた地のテーマのひとつである「ミッドライフクライシス」より。詳しくは後述)。それがピークに達した時、王は多くの光の生物を巨大なダイヤに吸収し(暴風域の壁画と砕ケル闇ノ季節より)、それを取り込むことで不老不死になろうとする(後述)。王は大精霊と多くの精霊を集め盛大な式典を催したあとダイヤを取り込んだ(暴風域の壁画・書庫の壁画などより)がそれは失敗し、王は闇の嵐そのものになり、大精霊は「落ち」、暴走したダイヤは闇の破片を王国中に撒き散らすことになる(砕ケル闇ノ季節より)。王の中にあった光の心もダイヤに飲み込まれてしまう。汚染、光の枯渇、闇の生物の発生、大精霊と王の失踪、闇の破片、それらによって恐慌に陥った精霊たちは生物も精霊も敵も味方も関係なく殺し、やがて王国は滅びる(AURORAバーチャルコンサートより、また捨てられた地が「終末」に対応することから)。
書庫時代:わずかに生き残った精霊たちは書庫に身を寄せる(追慕の季節より)が、精霊の時代の終わりが近いことは明白である。そのため彼らは記録を残すことにした。彼らが生きた証を残すために。次の世代がもし現れたなら、同じ過ちを二度と起こさないように。そしてこの事態を引き起こしてしまった後悔とともに、死にゆく彼らにはもうどうすることも出来ないこの闇に囚われた世界が、闇に飲まれた生命が、時の流れと共に癒されますように、と一縷の望みを抱きながら。
精霊の時代からはるか未来(現在):数少ない残った光はやがてその数を増やし、そして進化した種が生まれた(AURORAバーチャルコンサートより)。「星の子」と呼ばれる彼らは失われた光を闇から解放するためにこの地に舞い降りた。