サウンドバス、日本語だと音浴と言うそうな。
音は体を振動させる。血行を良くしたり、自立神経に作用してリラックスさせたり興奮させたり、意識を自分に向けさせ記憶や感情を想起させたり※
……するらしい。
また賢くなっちゃった。
ここはそんな空間の様だ。
いっちょ蝉の声が染み込む岩の様に、己が禅を感じてみよう。
浮き石
不思議に浮いている石、その前に敷かれた座布団。
どうぞお座りなさい。
そう僕の心に言われている気がした。
どこからか声がして、「吸って…吐いて…」と呼吸を促される。
すぅ…
はぁ…
石の隙間が広がり、僕のお腹も膨らむ。
隙間が閉じて、お腹がへこむ。
石のリズム、僕のリズム。
僕らはなんて息が合うんでしょう。
すぅ……はぁ……
今ね…このまま寝ちゃいたいところ…
すう… はぁ…
すぅ…
うぅん…
足が痺れそうなので、次に行ってみよう。
池
小さな滝がトロントロンと水を注ぐ池。
ぷかぷか浮かぶまん丸水草。
薄桃色の花を咲かせる小柄な木。
小さな鯉が群れをなして泳いでいる。
そして誰かが浮かべた黄色いお花。
この池は、初めは小さな水溜りだったのかもしれない。
水が流れて、地面をほぐし池ができて、そこに水草や鯉がやって来た。
誰かが運んで育った木が花を咲かせ、僕らがやって来て花を浮かべる。
もしくは、こんな風に皆が調和できるように、誰かがこの池を作って、この風景が続くように、お手入れしているのかもしれないね。
水草が多くても、花を浮かべ過ぎてもいけない。
ほどほどを保つことが、きっと大切。
穏やかで、エネルギーを感じる。
それでいて、時間が流れているのに止まっているみたい。
僕らの憩う世界も、こうでありたいな。
地上絵
誰かの轍。うずまく細道。
考え事をしながら歩いて、こんなぐるぐるな道になっちゃったのかな。
そして僕らはそれを、面白おかしくなぞるんだ。
てくてく
さくさく
ふみふみ
てくてく
もくもく…
たまにはのびのび
あ、誰かさん
すれ違ったり
道を譲ったり
また独りになったり。
そうやって真ん中まで来たけれど、そこには何もなく。
きっと、ここにあった宝物は、最初の誰かが手に入れたんだね。
悩み歩んだ誰かを真似た後は、
我が道をゆこう。そこに道がなくとも。
つづく
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※参考
解説 音楽と自律神経活動の関係:音楽への反応と心臓血管系反応の測定法(PDF)
デフォルトモードネットワークの脳科学 「こころ」を司る仕組みについて