この頃は忙しい日々を過ごしている。
フレンドさんとも会う機会は無く、キャンマラやイベントをこなすだけ。
あまりにも……あまりにも……余裕がないっっ……
人生には、余暇とか遊びとか、隙間がないと、心がすり減ってしまう。
そうなると、心に合わせて自分の存在そのものを、小さく、弱い、蔑ろにされているものにしようとしてしまう。
つまりは、僕もそうなっていた。
具体的には、
「いっそのこと、部屋の隅の埃(ほこり)になって、星の子の賑々(にぎにぎ)しいぷえぷえを聴くだけの存在になりたい……」
なんて、ぽろっと呟いてしまうほどに。
でもさ、よく考えると、僕は部屋の隅に溜まった埃の気持ちを、ひとつも知らないや。
そんな心持ちで羨ましがるのは、埃にちょっぴり失礼じゃなぁい?
埃だってなぁ…!なんかこう……大変なんだぞ!ってお叱りを受けちゃうかも。
埃の気持ち……「知りたいな」……
埃になってみたら、分かるかなぁ……
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埃の気持ちを知るために、ふわふわコーデで、小さくなれるカフェにやってきた。
暖炉の奥から入ってきたから、ほんのり汚れているはず。埃感増し増し。
部屋の隅に置かれた、プレゼントと壁の間。
埃はこういうところによく溜まるよね。
ちなみにこのカフェは部屋の角が丸いので、きっとお掃除しやすい。
掃除機とかワイパー使うと角でガッてつっかえて、うまくゴミが取れなくてさ。結局箒を持ってきて掃いた方が綺麗になるんだよねぇ。

大きなプレゼント箱の、この下に座ってみようかな。
……埃が座る時の擬音ってなんだろう?
ふわり、ぽふっ、そっ?
思えば音は、物体同士がぶつかって抵抗し合う時に生まれるものだものね。
軽くて柔らかい埃は、音がしないか、聞こえないほどに小さい音かもしれない。
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隅っこに座って、じっとしてみる。
僕は埃……埃です……
羽ばたく星の子たちのケープ、頬擦りされ投げられたぬいぐるみ、硬い床からおしりを守ったクッション。
それらより解(ほつ)れた繊維が、風に運ばれ、部屋の隅っこに集められ生まれた、謂わば選ばれし存在……
ああそうか、「埃は特別な存在で、意外と自信がある」のかも。
……!
誇り高いね!ほこりだけに!
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隅っこから部屋を見渡すと、こんな風景。
これはカメラのフィルターで明るくしたもので、

実際はこう。

暗い。
埃はあまり動けないから、お掃除されることが無ければ、この景色を見続けることになる。
薄暗い中、カフェのBGM、星の子たちの駆け回る音、誰かの声。
ほんのり、微かに聞こえてくる。
賑々しいかなと思っていたけれど、意外と部屋の隅は静かだ。
それを可哀想だと思うのは僕の感覚。
実際の埃は、どうだろう。
見慣れた景色に心が安らぎ、生活音に合わせて歌い、季節で変わる空気感に嬉しさを覚えるのかもしれない。
「埃は心が豊かで情緒がありそう」
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そんな風に、埃に思いを馳せ続ける。
ここはキャンマラルートらしく、ぼくが耽る(ふける)間、何度か星の子たちが側を通り抜けて行った。

時折り興味を示して立ち止まる子たちもいた。

僕の背中越しに一期一会があり、

僕の横にぽすっと座って、僕の真似をしてみたり、

埃な僕を焼こうとする、掃除好きな子もやってきた。
すごく眩しくて、びっくりしちゃった。
僕は初め、誰にも関わり合わず、誰かの喜ぶ姿やただ生きる姿、そんなのを人知れず見るだけの存在になってみたかったのだ。
けれど、どうもそれだけじゃないみたい。
「何気ない埃が、誰かの心を動かす事もある」
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さっきまではね。
正直なところ、疲れてて、嫌になって、独りになりたいなって思ってたんだ。
ゆったりと刺激の少ない時間を過ごしたからかな。
自分を卑下する形で始めたものだったのに。
寄り添ってくれた誰かに優しさを覚えたし、燃やされそうになったのも、なんだか面白くて。心がぽかぽかしてきて。
埃の気持ちを知るつもりだったのに。
「知りたいな」
「特別な存在で、意外と自信がある」
「心が豊かで情緒がありそう」
「誰かの心を動かす事もある」
たぶん……これは埃じゃなくて。
僕が素直にそうしてしまう、僕の理想や憧れの部分なのだろう。
人間と、星の子と、埃。
それぞれの僕の、何者かになってしまっても、成れなくても、
こうありたい、変わりたくない部分。
埃になると、僕のほんとの心が見えてきた。
忘れたくないな。
大切にしなきゃな。
みんなも疲れたら埃になってみてね。
その時は、頭とケープのふわふわを忘れずにね。
終わり。