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AURORAのコンサートから生物たちを考える(後編)

ふせったー一連のツイートを元に加筆修正。
こちらは旧考察座から移植した記事であり、内容は2023年3月時点のものとなっています。
前編を未読の方はこちらからどうぞ。

5曲目 The Seed

私の大好きな曲です。 精霊たちの滅びへの足取りは、光の生物にはどのように映ったのでしょうか。

最初は鳥の視点。雲間を飛んでいると、雲の穴とも切れ間とも取れる渦が現れます。捨てられた地の入口にあるあの渦とも似ています。

場面が暗くなるのに合わせて、周囲を青い光が漂い始め、渦の穴へ入っていきます。この青い光に触れたり、あるいは渦の中へ入ろうとするとダメージを受けてしまいます。

鳥たちには、渦の底でなにか恐ろしい事が起きていることまでしかわからないようです。

そしてこの青い光。 皆さん何か思い出しませんか? 渦の底を照らす光の色と動きが、あのサーチライトそっくりなんですよね。

この青い光は鳥から見た暗黒竜の姿ではないでしょうか。

どういうわけか星の子におなじみの黒い体は認識できておらず、頭のサーチライトのみが見えているようです。

仮にこの一つ一つが暗黒竜だった場合、墓所エリアどころではない相当な数の暗黒竜が群れをなして、この穴から下へ降りていったことになります。

この途中ぐにゃりとした軌道がより生物的で、暗黒竜の動きにしか見えないんですよね。

鳥は雲の下の捨てられた地では生きていけない。”Feed me sunlight, feed me air”の歌詞が虚しく響き渡ります。

ここからは蝶に変わって、捨てられた地の神殿前を飛んでいきます。蝶は鳥よりも小さくか弱いですが、捨てられた地の環境下でも生きていける生命力をもっているようですね。

ちなみに現実の生態系でも、昆虫類の適応力と、飛翔による拡散力は生物界でずば抜けています。納得の描写。

地上に幾度も降り注ぐ、この青い光。 赤くならず青いままですが、突進してくる暗黒竜のサーチライトだけを見たら、こんな動きになると思いませんか? 精霊や光の生物に向かって、暗黒竜が幾度もあの突撃を繰り返す姿は想像に難くありません。

希望の君の記憶にも小さな暗黒竜が二体、大きな個体が一体登場していました。 暗黒竜がうろつく中ですら、精霊たちは戦争を止めなかったのです。同時系列の記憶を見ている以上、暗黒竜が登場しないのは不自然に感じます。

鳥や蝶が暗黒竜を視認できていないと考える方が腑に落ちます。

この小さな暗黒竜は精霊に剣で倒されていて、それも当時驚きました。このくらいなら精霊は倒せるんですね。

蝶や鳥には暗黒竜が光にしか見えない理由は、4曲目で精霊が登場しないのと同様に推測するしかありません。

  • 暗黒竜が鳥や蝶に対して大きすぎて認識できていない
  • 闇に覆われた暗黒竜は光の生物に見えていない
  • 恐ろしすぎて記憶から消している

等々、色々考えられます。

もし光の生物が暗黒竜の黒い色を視認できないとすると、光の生物の捕食には有利にはたらきそうですね。

捨てられた地のマンタも暗黒竜から逃げる様子が一切ありませんでしたし、私は光の生物は暗黒竜の黒い姿が見えず、頭のサーチライトしか視認できないのだと考えています。

鳥は暗黒竜(の光)に触れるとダメージを受けてはいましたが、鳥や蝶へ暗黒竜が向かって来るようには見えませんでした。 あの捕食形態からして、労力の割に合わない小さすぎる獲物は相手にしないのでしょう。

止むことのない暗黒竜の突撃。 止むことのない戦争。 神殿前はまさしく阿鼻叫喚の地獄絵図です。

精霊が吹き飛ばされているのは光の位置的に暗黒竜の突撃によるものと思われる。

マンタたちは捨てられた地のエビ1エリアのように、迷いこんでしまったのだろうか。

精霊、光の生物、闇の生物入り乱れた乱戦は恐慌にも近い雰囲気です。その中で救命活動ができた希望の君の異端さもよくわかりますね。

“You cannot eat money, oh no”

自然が荒廃した中で、もちろんお金は役に立たず。 生きるか死ぬかの戦場でも、同じくお金は何の価値も持たない。

話が反れますが、貨幣経済はある程度資源が潤沢で、秩序が行き届いた平和な世でなければ成り立ち得ないんですよね。東欧情勢をSNSで追える今、切々とこの言葉の鋭さを感じるのです。

神殿前のギミックがある高台にズームして、この記憶は締めくくられます。

ここで武器を支えに立とうとしている精霊は、もしかすると捨てられた地の大精霊の可能性があると思っているのですが、どうでしょう。 蝶は精霊を区別しません。

あの状況下で地面に倒れ伏してもなお立ち上がろうとするような精霊、私にはあの大精霊しか思い浮かびませんし、ポーズも位置も瞑想ムービーに近いのです。神殿の門を守っているのはその門の向こう側に守らなければいけないものがあったからで、書庫に避難した精霊がいたとわかった今はなおさら…。

闇の虚の記憶との時系列も色々謎だし、あくまで可能性ってことでお願いしますね!(逃)

この曲では捨てられた地で過去に起きた戦争はもちろん、光の生物たちの世界に起きた異変が描写されました。

光の生物が暗黒竜を視認できないということはつまり、一方的に捕食されるしかなく対抗手段の打ちようがないということです。

砕ケル闇ノ季節より、現在の暗黒竜は精霊の作り出した闇の虚によって出現したことが明らかになっています。精霊たちの活動による暗黒竜の出現が生態系に多大なる影響を与えたと言えるでしょう。


6曲目 Through The Eyes Of A Child

コンサートはここからが一番感動的で大事なんですが、この後は考察というよりは感想が主になり、私の考察はもう終盤です。

見た人が各々感じたことが全部正解といった面がより強いし、何より書けること少ないんだもん…()

惰性であと少しお付き合いください。

気が付くと荒涼とした暗い砂丘を飛ぶたった一匹の蝶となっており、周囲にはあちこちに精霊の亡骸らしき石像が並んでいます。

ここはどこか具体的な場所というよりは、王国が滅んだ後闇に包まれた世界を抽象的に表しているように感じます。

それぞれに形は違い、何かの過ちを犯しつつも、精霊たちに他者を思う心があったことがはっきりと示されており悲惨さが強まっています。一体どこで間違えてしまったのか…。

王国の終焉に至っても、互いに信頼関係が壊れなかった生物と精霊もいたのかな。

最後に出てくるひとりぼっちの膝を抱えた子供は、原罪にいるあの子そっくり。他の石像とは少々異質です。

これまでもSkyの中において孤独とそれを乗り越える勇気は、特別丁寧に表現されてきたように思いますのでそれに類するものかと。

何なら原罪にいるハグの子その人かも。

そして飛んで行った先で蝶は別の蝶と出会い、鳴き交わして二匹一緒に飛んでいきます。

その次に、同じく鳴き交わすマンタのペアが現れます。

この蝶→マンタの順番が結構大切だと思っていて、5曲目の項でも触れたように蝶は光の生物の中で光が不足した環境に最も耐性がある生物であり、闇に覆われた環境下に侵入してわずかながら光を届ける先駆者となっていたのではないかと考えています。

砕ケル闇ノ季節前のアップデートで蝕む闇を溶かすと蝶が出てくるようになり、捨てられた地に蝶が増えましたよね。

長い長い時間をかけて蝶が光を届けた地にマンタが入れるようになり、少しずつ闇に覆われた土地に元のような光の循環が生まれ始めて、そこにようやく星の子たちが降り立ち、残された精霊たちに光を届けられるようになったということではないでしょうか。自然の物質循環による浄化です。しかしこの浄化には途方もない時間がかかっていると思います。

オープニングでも悠久の時を超えて貴方を迎えましょうみたいなこと言ってましたし(めちゃくちゃうろ覚え)。

また蝶同士やマンタ同士で鳴き交わす様子は見ていたこちらも「よかった、一人じゃなかった!」という気持ちが自然と沸きます。私たち人間のように群れで生きる生物は、一匹になってしまうと生きていけない。だからこそ孤独を恐れる本能がはたらくのです。

この後、蝶は朝日のように輝き登ってくる巨大なAURORAさんの前で本来の星の子の姿に戻り、一緒に天へと昇って行きます。

暗い場所で一人になり、誰かと出会い、コミュニケーションをとって、天空に昇る。星の子の転生と同じ流れです。実際「初めて転生した時を思い出した」という感想けっこう見ましたし私もそう思いました。

光の生物は原罪を経る必要がないのが星の子の転生との違いですね。


7曲目 The Light Beyond

そのまま天空に昇るとAURORAさんと共にいつもの宇宙空間を進みます。AURORAさん以外、周囲を飛ぶ精霊さんもいつも通りです。

毎週転生している私は「あっいつもの場所だ」と実家に帰ってきたような感覚になったんですが、これも意図的なものなんでしょうか。「天空は帰る場所・安心できる場所」というのを古参の星の子ほど感じるよう敢えてなのだとしたらうまいな~と思いました。


8曲目 Queendom

この項いる~?生物系の考察だけ求めてる人は読み飛ばしちゃってください、ほぼ感想なので。

天から降りてくるのは転生直後と同じですが、峡谷の劇場に戻ってきました。

AURORAさんは大きい姿のまま、劇場内を飛びながら歌います。

Queendomの歌詞はおそらくAURORAさんの理想郷的なものだと思うのですが、Skyの理念ととても一致しているように思えます。

力ある者による武力の支配ではなく、力なき者たちが相互扶助して暮らす世界は今の星の子たちがいるSkyの世界に近いのではないでしょうか。

あくまで歌詞をそのまま聞けばAURORAさんが女王として君臨する国の歌ですが、Skyにおいてコンサートの、この光の旅の最後に歌われるQueendomは精霊に次ぐ新人類・星の子の時代の象徴として歌われているように感じました。

“You have a home in my queendom (あなたの家は私の国にある)

You have a home in my queendom (あなたの場所は私の国にある)

You have a place in my queendom (あなたの居場所は私の国の中にある)

You have a home (あなたの帰る場所がある…)”

ここが個人的に一番好きな部分です。星の子供たちによる空の王国はありのままの全てを受け入れる、そんな風に聞こえます。

例えば私たちの世界で、大勢が通る道の途中に熊とか暗黒竜のように大きくて危険な生物がいたら、まず間違いなく「何とかしてどいてもらう」という具合に、手段が穏便であれ暴力的であれこちらの都合を向こうに押し付けることになるでしょう。なぜならその方が我々が安全だからです。

でも星の子は暗黒竜を追い払ったり、ましてや殺したりなんてできないし、やらないんですよね。あくまで逃げ隠れるくらいで、元からいた彼らに自分たちの都合を押し付けようとはせず、そのままの彼らと共存する存在です。

精霊と同じように道具と知恵をもちつつも自然と共存する星の子と、光も闇の生物も全部含めたSkyの自然全てがこの王国…ということなのかなと思いました。

「星の子とは何なのか」という話題については可能であれば記事にしてみたいと思いますので、このくらいで勘弁してください…。


まとめ

最後に、私がSkyの生物についてこのコンサートの情報から考察した事をまとめておきます。

【光の生物について】

  • 渡りをし、天に昇り転生するが原罪は経ない
  • 基本的に精霊を外見で区別していない
  • 暗黒竜をサーチライトしか視認できない

上記に関連して

  • 星の子の視覚は精霊に寄っており、精霊の区別がつき暗黒竜が見えるため光の生物の視覚とは異なる

【蝶】

  • 闇に覆われた環境への耐性が一番高い

【鳥】

  • 孤島の大精霊のみ認識している

【クラゲ】

  • 夜行性である

【マンタ】

  • 峡谷の時代の末に精霊を見限った
  • 星の子を精霊とは別存在と認識している

良かったなあ、AURORAの季節。エンタメに疎いのでAURORAさんについて季節前は全くといっていいほど知らなかったけど、今では毎日コンサートのCDを欠かさず聞くくらい、彼女の歌が好きになりました。

ここまで長いこと怪文書を呼んでいただきありがとうございます。

不定期ですが、いずれまた生物学や環境学を元に怪文書を書くかもしれません。

誤字などありましたらコメントなどで教えてくださるとありがたいです。