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音の星座が残したもの—— Skyサマフェス2025、一夜の物語を支えた星の子たち

Sky Summer Music Fest. 2025は、音楽と人とが交差した一夜限りの奇跡だった。

地図を描いた人、道を整えた人、その道を音で彩った人。そこに立ち会った300人(※)の星の子たち。普段はそれぞれの空を旅する私たちが、この夜はひとつの場所に集まり、音に揺れ、笑いに包まれ、拍手の波に身を委ねた。

 ※ メインチャンネルのみ。増減あり(筆者調べ)

 ※ Sky Summer Music Fest. 2025は8月2日に有志によって開催された非公式イベント

 

【第一ステージ|書庫・星月夜の砂漠】 一座/ひなた

一座:夏祭り(JITTERIN’JINN)ルパン三世のテーマ(大野雄二)

ひなた:Sky楽譜25番(Vincent Diamante)YUME日和(島谷ひとみ)

初っ端から音響トラブルに見舞われるというハプニングがあったが、それすらも演出の一部かと思わせるほど、一座さんのパフォーマンスは見事に場の空気を作っていた。ハンドパンが奏でる「夏祭り」が観客の心を引き込み、趣向を凝らした「ルパン三世のテーマ」へ。ひなたさんはエレキギターの力強さとグランドピアノの透明な音色を使い分け、かっこよさとキュートさの両面で聴衆の拍手をさらった。

 

 

【第二ステージ|孤島・はなれ小島】 あーすけ/ゆな

あーすけ:インフェルノ(Mrs. GREEN APPLE)会心の一撃(RADWIMPS)

ゆな:アゲハ蝶(ポルノグラフィティ)好きな惣菜発表ドラゴン(ンバヂ)

キャンドルの炎越しに始まったあーすけさんの「インフェルノ」は、勢いそのままにチャット欄を🔥で染め上げた。「会心の一撃」は自身の青春を支えた一曲。まっすぐな音が胸を打つ。ゆなさんは「アゲハ蝶」をトランペットで情熱的に奏で、2曲目はまさかの“惣菜ドラゴン”。ドラゴンが淡々と呟く歌詞に、チャット欄は惣菜名で大騒ぎ。熱さと笑いが同居するステージだった。

 

 

【第三ステージ|峡谷・隠者の峠】 Leo/天心飯

Leo:Raining(Cocco)|深夜高速(フラワーカンパニーズ)

天心飯:Daydream Believer(ザ・モンキーズ)|優しいあの子(スピッツ)

息を呑むほど美しい洞窟で、Leoさんが奏でるウクレレの「Raining」が、重い歌詞を優しく包むように響く。「深夜高速」ではチャット欄が“生きていてよかった”の合唱で埋まり、静かな感動が広がった。天心飯さんは、「Daydream Believer」でサブ端末との2台同時演奏という神業を披露。響きあうハーモニーに視聴者のわくわくが止まらない。「優しいあの子」では北国を思わせる景色とともに、透き通るような音を届けてくれた。そして恒例となった劇団五季の寸劇がしっとりした余韻を笑いへと変え、次のステージへとつなげた。

 

 

【第四ステージ|雨林・地下洞窟】 かぴかぴ/こも

かぴかぴ:DANCING THROUGH LIFE|DEFYING GRAVITY(SCHWARTZ STEPHEN LAURENCE)

こも:Inferno(澤野弘之)|DAYBREAK FRONTLINE(Orangestar)」

かぴかぴさんは映画『Wicked』から2曲。映画をイメージさせる緑の舞台で演奏された。エレキギターでかき鳴らすロックが冴えわたり、途中で魔女に変身する演出も相まって観る者を舞台の世界へ引き込んだ。こもさんは逆光の美しい洞窟で、1曲目をギター、2曲目をグランドピアノで演奏。「Inferno」は力強く爽快に、「DAYBREAK FRONTLINE」では逆光がまさに夜明けそのもの。疾走感とともに、希望へと抜けていくような光のステージだった。

 

 

【第五ステージ|楽園の島々】 楽/シャル

楽:ルキンフォー|惑星のかけら(スピッツ)

シャル:花に亡霊(ヨルシカ)|怪獣の花唄(Vaundy)

青空とマンタの声、サマフェスにぴったりの舞台。楽さんはスピッツの2曲をAURORAの声で。「ルキンフォー」ではそっと背中を押すような、「惑星のかけら」では軽快で開放感のある歌声が、あめりさん作の「ヤマス」をバックに響いていた。シャルさんの「花に亡霊」では懐かしく切ない曲とギターの音がぴたりと重なる。「怪獣の花唄」ではMVをイメージしてスタッフが再現した演出も愛らしく、チャット欄は皆が口ずさむ歌詞で溢れた。

 

 

【第六ステージ|星月夜の砂漠】 sen/TWO LIGHTS

sen:怪獣(サカナクション)|アポリア(ヨルシカ)

TWO LIGHTS:We Will Rock You(Queen)|希望の轍(サザンオールスターズ)

再び舞台は星月夜の砂漠へ。Senさんはアニメ『チ。』から2曲を演奏。 “くしゃみする地理学者”のエリアはまさに物語を象徴する舞台だった。グランドピアノで奏でる「怪獣」「アポリア」は、静かな衝動と決意をイメージさせた。TWO LIGHTSは、“手招く支配者”の玉座を背に堂々登場。「We Will Rock You」の重いビートに観客の手拍子が呼応した。「希望の轍」はまるで海沿いを駆け抜けるような爽快感。チャット欄には🌊が溢れた。

そして迎えたアンコール。TWO LIGHTSの「君の知らない物語(supercell)」。チャット欄には感謝と拍手が飛び交い、笑顔と涙が混ざった大盛り上がりのカーテンコールを迎えた。

 

この音楽祭はここで語り尽くせるものではない。演奏も、演出も、そしてその場の空気も、すべてが“あの瞬間”にしか存在しなかった。

だからもし興味を持っていただけたなら、ぜひ映像で確かめてほしい。

そしてあの日そこにいた人には、もう一度あの空を思い出すきっかけとして。

 

🎥アーカイブはこちら

https://youtu.be/5gJMfc7sXK8?si=p7h8hVcsWxvuqE0J

 

🎤出演者インタビューはこちら

①【奏者さん編】サマフェス2025アフタートーク

②【運営さん編】サマフェス2025アフタートーク

③【スタッフさん編】サマフェス2025アフタートーク

……そしてもうひとつ。

音楽祭をもっと楽しむために、損得抜き、ただ“好き”の気持ちから生まれた小さなグッズたちがあった。知る人だけが知っているような、そんな静かな頒布だったけれど──

当日誰かの胸ポケットに、そっと収まっていたかもしれない。

 ※本文中では読みやすさの都合上、敬称を省略した部分があります。ご容赦ください。