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【考察記事】「命の語り部」の考察要素を解説をするよ~!

※※こちらは、2025年12月8日(月)~2025年12月14日(日)に連載した二次創作小説「命の語り部」の考察解説記事です。
※※物語の結末や渡りの季節のクエストを含むネタバレが多数あります。

私が主催する文章系二次創作者のための作品投書企画「#SkyWriteCember」にて、短編小説「命の語り部」を集中連載しました。この小説は、恒常精霊の恥じらう探鉱者鯨の語り部を主人公に、語り部とは何かを考察した上で執筆した、考察要素を多く含む作品です。

連載も終わったところで、どんな考察要素を入れたのか、また、作品の裏設定や小話を、ここに掲載したいと思います。

よしよし、真面目な文章はここまで!ここから先は、ちょっとゆる~い口調も交えて書きますよ。

なんてったって、少し長い後書きのような記事だからね!本当に長いからね(※約6000文字)、暇なときに読んでくださいな。

恋バナよりも考察

私のXをフォローされている方はご存知かも。

Xにいるとある星の子さんのイラストを見て、「恥じらう探鉱者と鯨の語り部の物語を書きたい!」と思ったのが出発点。それ故に、本来、この作品で「語り部とは何か」を書く予定は全くなくて、むしろ恋愛要素を多く含む作品となるはずでした。

ただまぁ……私はプロットを作らずに書き進めるのが好きでして(プロットを作っちゃうと、プロット作りだけで作った・書いた気になって満足しちゃうから、あんまりやりたくないという気持ちもある)。大枠の設定だけを決めて、筆を進めながらリアルタイムで方向性を決めようと決意するも、SkyArtFestの出展準備等々もあり(※11月30日にサークル出展で参加)、なかなか原稿用紙は埋まりません。「どうせ時間がかかっちゃうなら、昨年から始めた企画(#SkyWriteCember)で連載しよう!」と決めて、ゆっくりの執筆へとシフト。物語の構想に時間をかけていたら、渡りの季節で各地の語り部が登場したのも相まって、「語り部とは何か」に比重を置いた作品へと変化していきました。

自分で言うのもなんだけど、恋バナはどこいったんだよ恋バナは。探鉱者ちゃんには、もっと赤面してもらうはずだったのに!どっちかと言えばツンデレ系に見える彼女が、どうやって思いの丈を伝えるのか、どのように気持ちを切り替えていくのか……そこに焦点を置くつもりでした。祝祭の旋舞家さんとのデイリー(ダンスを教えてもらう特別なデイリー)を、作品に組み込むプランもあったんですよ。予定は未定だったけどさ。

考察要素の解説(1)鯨の語り部と記憶の語り部

渡りの季節で各地の語り部たち(草原:鳥の語り部・海月の語り部、峡谷:マンタの語り部)が登場し、精霊たち(特にマンタの語り部)の目覚ましい変化に、Xは賑わいを見せました。

しかし、雨林の鯨の語り部、捨てられた地の蟹の語り部、書庫の記憶の語り部の3名は(2025年12月19日現在で)渡りの季節に登場していません。公式Xで公開された渡りの季節のコンセプトアートをよく見ると、蟹の描かれたアートはあります。ということは、蟹或いは蟹の語り部は、もしかしたら何らかの形で登場するかもしれない、または、登場する予定はあったものの、最終的に外されたとして(2025年12月18日の再訪も蟹の語り部でしたからね)。こうなると、生き物も含めてコンセプトアートに全く登場しない鯨の語り部と記憶の語り部は、渡りの季節とは直接関係のない精霊である可能性も否定できなくなりました。

そんな中で、私は思ったんです。鯨の語り部と記憶の語り部は、同一人物じゃないかって。

ここで、鯨の語り部と記憶の語り部の解放条件を確認します。

【 鯨の語り部 】

【 記憶の語り部 】

  • 場所:書庫/4階
  • 何をする?:小さなマンタの骨の周りに設置された5本のキャンドルに火を灯す
  • エモート:記憶のマンタの声
  • 特殊条件:エモートの習得にはマンタボイス(マンタの語り部のエモート)が必要

一見すると、マンタの語り部と記憶の語り部が同一人物にも思えますが(私も一時期その線を考えましたが)、以下の理由から、鯨の語り部と記憶の語り部が同一人物である可能性を考えました。

  • 渡りの季節で渡りのマンタの語り部が登場した。
    →精霊の紹介文で、マンタの語り部と渡りのマンタの語り部が同一人物と確定している。
  • 鯨の語り部と記憶の語り部は記憶の追体験はできないものの、マンタの語り部と渡りのマンタの語り部は追体験が可能。
    →鯨・記憶の両名は、自分自身の姿を映した記憶も残っていない。
    →マンタの語り部は峡谷/城塞都市(所謂「天球儀エリア」)に、渡りのマンタの語り部は風の街道に自身の姿を残している。
  • 鯨の骨がある雨林/墓場には小さめのマンタも居り、鯨の語り部は小さなマンタの存在も熟知していた可能性がある。
  • 鯨の語り部の解放に必要なケープレベル4と、記憶の語り部の小さなマンタの骨のそばにある4本のキャンドルの数が共通している。
    →5本目のキャンドルは、4本のキャンドルとは若干外れた場所にある。
    4本のキャンドルは鯨の命を、5本目のキャンドルで語り部本人の命を再現している可能性がある。
  • 記憶の語り部がいる書庫/4階に雨林の星座が映し出されている(より正確には、3階→4階へ移動する際から、雨林の星座が映し出される)。
    →鯨の語り部がいるのは雨林/墓場。よって、両者には雨林が共通するとわかる。

本編・6章の舞台は雨林ですが、7章で場所を(半ば無理矢理にでも)書庫へと移したのは、この考察を物語の背景情報の一部として直接投影させたかったからです。

ここまで書いて思ったけど、ゆる~い口調ってなんだろか。全然ゆるくないのは私でもわかる。考察のことになると、途端に真面目になっちゃうなぁ。まぁ……私らしいといえばそうなんだけどさ。

考察要素の解説(2)鯨は渡らないのか?

そういえば、鯨の語り部と記憶の語り部は、なぜ渡りの季節に登場しないのでしょうか。これは私のXの投稿を見ていただくほうが早いので、スクショをペタリしちゃいます。

以上です!!と言いたいところですが、流石にもうちょっとだけ掘り下げますか……渡りのマンタの語り部の紹介文を引用します。

【季節の精霊たち】
渡りのマンタの語り部

光の生き物たちを導くことは、まさに今皆さんが体験しているように、私たちを飛躍させるきっかけになっています。
そしてそれはマンタの語り部さんにも言えるようです。

見違えたモヒカン姿と勇壮なケープが成長の証!💪
変わるって素敵なこと! 🥰

このモヒカンとケープのくだりこそ、恒常精霊の時代と渡りの季節の時代が異なる時期と示唆する内容ではないかと思うのです。

紹介文を読む限り、マンタの語り部は光の生き物を導くようになってから成長(飛躍)したと考えられます。ということは、マンタの語り部と渡りのマンタの語り部の間には、(数ヶ月或いは数年……もしかしたら、たったの数日・数週間かもしれませんが)多少の期間が空いているとも読めそうです。そして、地味に重要な要素ですが、草原の鳥の語り部と海月の語り部もまた、マンタの語り部と同じ時代に生きていたとわかります(つまり、海月の語り部がいる楽園の季節もまた、マンタの語り部らと同じ時代の物語なのでしょうね)。

前述の通り、鯨の語り部=記憶の語り部だとすれば、他の語り部たちが光の生き物を導く間に鯨の語り部は死に、記憶の語り部になってしまった可能性が無きにしもあらず……鯨の語り部が渡りの季節の時代の前に死んでしまったなら、渡りの季節に登場するはずもありません。

語り部が登場しないからと言って、鯨が渡りに無関係の存在か?と尋ねられたら、私は「NO」と言います。鯨は天空への道にも出現し、星の子と同様に空へと向かいますから、渡りとは無関係の生き物とは思えません。

ただし、渡りの季節に鯨の語り部が出てこないとなれば、鯨は導いてくれる者を失い、道に迷ってしまったかも……とは考えられそうです。いにしえの追想で鯨の部屋を見る限り、鯨はSky王国に複数いたと思われます。雨林で息絶えてしまった鯨とは別の鯨が、まだいたかもしれません。その鯨たちが道に迷ったのは、行くべき先がわからないだけではなく、仲間(導いてくれる者或いは同種の生き物)を探して彷徨っていたためとも言えそうです……

コーヒー・ブレイク 命の語り部の登場人物たち

ちょっと考察から離れましょうか。私も少し……いや、そんなに疲れちゃないけども。でも、ずぅっと考察の話ばっかりってわけにもいきません(あとひとつだけ、どうしても書きたい考察があるのでね)。登場人物たちについて、ちょびっとだけお喋りします。

鯨の語り部:レヴィ

鯨を意味するヘブライ語「לווייתן (読み:リヴヤタン)」がベース。旧約聖書では「海の怪物」を意味します。英語では「Leviathan(読み:リヴァイアサン)」です。英語のほうが馴染みあるよね、きっと。

語り部のくせに大事なことは全部胸にしまっちゃう(が故に報・連・相は若干怪しい)、けれども、ちょっとだけ真面目な人物に設定。おばあちゃん(想いを編む先祖・詳細は後述)が認めた語り部の後継者でもあります。6章で殉職しますが、当初はもっと悲惨な亡くなり方を想定していました(吸光装置を20個配置する描写もあったもんで。あと、パフちゃんが現場を以下略)。渡りのうたを歌い上げるくらいだから、歌はそれなりに上手……かと思いきや、おばあちゃん曰く「最初は聞いていられなくてね……」。

恥じらう探鉱者:パフ

ハワイの伝統的な楽器「Pahu(読み:パフ)」から。「神聖な太鼓」を意味する楽器で、ヤシの木をくり抜いて作ります。フラの儀式など、神聖な行事で使う楽器なんだそう。

賑やかな空間を好む反面、一人の時間もしっかり確保したいタイプ。練習や訓練など、日々の努力を見られたくない、過程よりも結果を重視する性格です。探鉱者ですからね、採掘できそうな場所を見つけなくては、仕事にならなかったでしょうから。7章でパフが記憶の燈(あかり)に何を保存しようとしたのかは、皆さんの想像にお任せします。少なくとも、パフにとっては幸せな記憶であったことに違いはありません。

うろたえる狩人:リエ

髪型からどことなく女性らしさを感じるのもあり、女性っぽい名前に決めました。狩人やハンターを意味する中国語「猎人(読み:リェレン)」が由来です。本編では性別を意識させないよう、意図的に荒っぽい口調で書き進めました。ですから、リエの性別がどっちであるかと聞かれたら、私は、どっちでもいいよ、と答えます。

どうしてもうろたえる狩人に鯨が眠る地を案内するデイリーをベースにした章を書きたいと思ったのが、リエ登場のきっかけでした。パフと仲が良く、レヴィには何故か敵対心を燃やす設定もあったような、なかったような……

想いを編む先祖:おばあちゃん

ちょっっっとだけ考察を混ぜますが、ご容赦を。高台広場の食卓で、星の子に光のかけらを配る「おばあちゃん」。私は、おばあちゃんも語り部だったのではないか、と思っています。おばあちゃんと鳥の語り部を比較しましょう。

 

髪型がそのまんまですねぇ。そして、何よりもおばあちゃんは星の子の声真似がお上手!星の子が光のかけらを集めている最中、おばあちゃんはその場にいる星の子のうち、誰か一人の声を真似して喋っています(ただ、どの星の子の声が選ばれるかは不明、何かしらの条件はありそうだけど……)。

語り部たちの声のエモートは、交流していた生き物たちの声であり、星の子は語り部たちから生き物の声真似を伝承してもらったと解釈できそう。つまり、どの星の子の声も真似できるおばあちゃんは、王国にいた全ての光の生き物と交流できる、スーパーめっちゃすごいハイパーなベテランの語り部だった可能性もあると思いませんか?私は思います。

ということで、おばあちゃんのミニ考察はここまで。

本編のおばあちゃんは、鳥の語り部・鯨の語り部・マンタの語り部の3人を、語り部の後継者として育成した人物に設定。実は、海月の語り部と蟹の語り部も育成していますが、登場の機会を作れなかったので、事実上の没案ですね。夜鳥の語り部の指導は、おばあちゃんの希望でレヴィに任せた裏設定もあります(自分は歳も歳だし、「レヴィだったら大丈夫」と)。

6章でレヴィが殉職したあと、パフを支え続けたのはおばあちゃんです(本当なら、そのやり取りも本編に入れたかったなぁ……)。本編の段階でおばあちゃんの家族は行方不明になっており(※想いを編む季節の設定を少々反映)、誰でも入れる食卓を開いていたのは、自分自身の寂しさを紛らわすためでもありました。一人は……寂しいよね。

考察要素の解説(3)燈の意味

登場人物のアレコレを書き終えたところで、どうしても書きたい考察を説明します。記憶の燈(あかり)の考察です。と言っても、6章後篇で雨林の大精霊が言ったセリフに、全てを詰め込んじゃったんですけどね。

「燈とは、希望……智慧と慈悲の象徴でもある。書庫の大精霊は、燈を次代へ受け継ぎたい、と言っていた。」

この一文はまるっと仏教の概念です。順番に説明しましょう。

※注意※
私自身は仏教に限らず、宗教全般にそこまで詳しくないです。考察のために調べて拾ってきただけですので、悪しからず……参照するサイトも、だいたいがウィキペディアか、或いはどこかのお寺のHPだったりと、書籍を読んだわけではない旨を申し添えておきます。
※注意※

仏教には「燈明」があります。(「灯明」のほうが一般的かもしれませんが、この記事では記憶の燈に合わせて「燈明」で統一しますね。)燈明とは、神様・仏様にお供えする灯火のことで、「灯籠」や「燭台」は燈明を供えるための仏具です。

燈明は闇を照らす光でもあります。ちなみに、闇の正体は「無明」、仏教用語で無明とは「無知」を意味します

では、仏教において闇は無知ならば、光は何でしょうか?

正解は「智慧」です。燈明の光とは智慧そのものであり、周囲を明るく照らしてくれる様を「神様・仏様からの慈悲」と捉えることもあります。

揃ってきましたよ~記憶の燈の意味が!

今度は「灯火」に着目しましょう。「法の灯火(のりのともしび)」という言葉があります。これは(ざっくり言えば)「仏教の教えが闇夜を照らすあかりになる」を意味する言葉で、「法灯(ほうとう)」とも呼びます。(そして、「法灯」は「法燈」とも記されます。)法灯を新しい世代へ受け継ぐ「法灯継承式」と呼ばれる儀式もあります(住職さんが新しい方へ変わるときに行われる儀式です)。

ここで思い出してほしいのがSkyにおける「書庫」の意味です。Skyにおいて書庫とは、次の世代に役立ててもらうべく、貴重な情報をたくさん保管した場所とされています。映画Skyでは、精霊たちの記憶を抜き取って記憶の燈へと保管し、後世のために残そうとするシーンもありましたね。

つまり、精霊たちは星の子(次の世代)へ、記憶の燈(智慧の光)を継承したかったのではないでしょうか?闇に飲まれる・埋もれるとわかった精霊たちは、次の世代に自らの記憶(光)を見つけてもらいたかったのかもしれません。自分だけではありません、大切な友、家族、愛する者、生き物たち…………

闇の驚異が国を覆い尽くし、暗黒竜が命を奪う中、精霊たちにできたことは、滅びを覚悟で受けとめた上で在りし日の記憶を記録し、保管することだけ。いずれ生まれ落ちる救世主たちの到来を夢見て亡くなったのは、言うまでもないでしょう。

雨林の大精霊のセリフには、このような考察を一文にして詰め込みました。「たったの一言でここまでのことなんかわかるわけないだろうっ」と言われるのは目に見えてます、ええ。

渡りのうたを歌って

もう5800文字も書いているので、そろそろ終わりにしないといけませんね。最後に、本編で登場した詩について少しだけ。

はかない ともしび
たずさえた つばさ
そら たどるみち
めぐりゆく いのちの ひ

この詩は、2番の楽譜「Boundaries」に(無理矢理)合わせて歌おうと思えば歌えます。Boundariesを繰り返し聞きながら考えた詩ですから、それはそうなのだけど。

翼を携えるのは命の廻りを止めぬため、空の道を辿るのはこれから生まれゆく命のため……草原の爽やかな空を行く生き物たちを思い浮かべながら、この気持ちをそのまま詩に込めました。下手に捻った表現を入れるよりも、シンプルに書いてしまったほうが良い気がして……私個人においては、とてもしっくりとくる詩に仕上がったと思っています。

渡りの季節の結末が非常に気になる中で仕上げた、短編小説「命の語り部」。最後まで走り切れたことに、とてもほっとしました。この解説記事を読んで、少しでも多くの方が、Skyの語り部たちに目を向けてくださるといいな、と思いながら、記事をおしまいにしたいと思います。

6000文字を超える後書きにお付き合いくださり、ありがとうございました!また次の作品でお会いしましょう。

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