ずっと書きたかったことがありました。
私が『Sky』に生まれ落ちる少しまえのこと、「このゲーム面白いよ」そう誘ってくれたのは姉でした。
スマホ画面を楽しそうに見て操作する姉、しかし、その数ヶ月後、彼女は帰らぬ人となった。たちの悪い転移性の悪性腫瘍で、何年も前から覚悟はしていた。
それから3年後…、私はふと『Sky』のことを思い出した。その頃の私といえば、言いようのない無力感、そして常につきまとう喪失感を抱えていたように思う。
そんな時でした。
まるで姉が大切にしまっていた日記を見つけた時のように『Sky』のことを思い出し、アプリをインストールする私がいたのでした。

『Sky』には息をのむほど美しい景色があった。空に浮かぶ雲 風に揺れる草原 遠くに見える気高い山
迷いながら、進みながら私は誰かに出会った。雨林の奥深く、小さな灯りもない場所で助けてくれたのはリトルのPちゃんだった。
小さな体で、でも確かに力強く私の手をひいてくれた。
花鳥郷で彼女に再会すると、いつも静かに手を差し出す「一緒に行こう」 その仕草に、姉の面影を見る。幼い頃姉が私にそうしてくれていたのだ。
Pちゃんと冒険を終え花鳥郷に帰ってくると、小さな頃、姉と手を繋いで駆け回ったあの田舎の風景がよみがえる。
陽光に満ちた草原 風に踊る蝶たち 川を流れる水の音ーーー
暗くなるまで遊び、家々にぽつぽつと明かり灯る頃、「ごはんだよー」と母の優しい声が耳元に響いてくるようだった。
あの温かな呼ぶ声が『Sky』の空に溶け合い、失われた日常を優しく取り戻してくれるかのようだ。
Pちゃんや、フレンド達と交流してると、気づいた、胸の中の温かなもの。 話したり、ハグしたり、演奏を聴いたりすると胸から溢れてくるあたたかい光。
そんな温かさのおかげで、少しずつ…… 無力感も喪失感も薄れていったように思う。 姉のいない世界で、それでも私はここにいる。光を灯しながら、歩いていける。

最後に…
この話を考察座の記事に載せるのを凄く迷いました。 「死」の影が誰かの心を重くするかもしれない、そんな風にためらっていた。
でも、ふと思った。
―――私のこの話が、誰かの胸の中に小さな光となって残ったら、星になってそっと寄り添えたら、温かいものがほんの少し宿るかもしれない。
そして、その光は、私と姉が一緒に灯したものなのかもしれない…
