2025年11月29日・30日に行われた「SkyArtFest」で配布した冊子「Sky考察本 その辺にいるシャード狂の誰かさん」。リクエストにお応えして、紙面の一部をこの記事で公開します!
その辺の考えるSky王国年表
精霊たちの時代に何が起こったのか、統治者はどうしたのか、キャンドルやダイヤの文化の変化など、5つの観点から考察した、総合的な年表です。
尚、詳しい用語の説明は一切していません。わからない用語がありましたら、(お手間をかけちゃいますけれども)ぜひsky考察wikiで調べてみてくださいね(そのほうが絶対に面白いですから)。
精霊の時代・前期(孤島~峡谷)


【各年代の補足】
孤島:先導する星読みとキャンドル職人の記憶を重視。メガバード信仰の拠点とは、孤島の神殿のこと。
草原:王国年表では唯一の非常に穏やかな年代。光の生き物たちが零した光を採取する様子は、笑う光採取者の記憶で確認できる。
雨林:生き物たちへ敬意を示す様は、うろたえる狩人が雨林の墓場で生き物の遺骨に敬意を示したデイリーから着想を得たもの。
峡谷:メガバード信仰から脱却したのか、メガバード信仰を忘れてしまったのかで意見の割れる年代。本書では後者を採用。
精霊の時代・後期(捨てられた地~暴風域)~星の子の時代(原罪)



【各年代の補足】
捨てられた地・書庫:アニメ前篇を捨てられた地・末期~書庫の年代と判断。
暴風域:大精霊たちが時空の彼方へ飛ばされた件は、公式日本語生放送でYui氏が発言した「大精霊と交流しているのは(中略)時空を超えた別の場所です」が元。
原罪:アニメ後篇の展開次第では、星の子の生まれるいきさつが「原罪の年代」にあたる可能性もある。その場合、星の子の年代は別の名称で表現する予定である。
羽ばたく案内人のデイリーが良すぎた件をしたためる
2025年に入って以降、精霊と交流できる特別なデイリーが増えました。羽ばたく案内人のデイリーもその一つ。3種類のデイリーを振り返りつつ、羽ばたく案内人の考察を深めます。
①まずは、深呼吸。本を読んで、心を落ち着けて……

最初の物語は、草原の村の端にいる羽ばたく案内人と一緒に、本を読む……ただそれだけのデイリーでした。
草原の大精霊の元弟子である羽ばたく案内人が、何をするでもなく、村の端で本を読むだけの光景にも見えます。ですが、私には素敵な物語の一端にも思えました。5冊以上はありそうな本の山……読み切るには、相当な時間を要するはずです。
かつて、長くを過ごしたであろう思い出の地の端で、静かに本を読み進める羽ばたく案内人。草原の大精霊と過ごした数多の記憶を、誰かと共有するでもなく、心の中で繰り返し思い返しているのかもしれないと思うと、切ないような、寂しいような……思わず、「草原の大精霊のことをもっと教えてほしい!」と、口に出したくなるような気さえします。
②最後のステップ、その前に。

2つ目のデイリーは羽ばたく案内人を神殿前へ連れて行く、というもの。草原の村で佇む羽ばたく案内人の手を引き、村のマンタを呼び出して、マンタと鳥を頼りに神殿へと向かいます。
言葉にするとサラッと終わってしまう気もするこのデイリー、実は目的地に到着したあとが肝です。
羽ばたく案内人が神殿の入口を見上げます。その様子が、懐かしさを思い出すようにも感じられるのです。急いで神殿へ入ることもなく、静かにそっと入口を見上げる様は、羽ばたく案内人が草原の村や草原の神殿での出来事を、とても大切な思い出として心に残していた証拠ではないかと思います。
③会えずとも、伝えたいことがある。

3つ目のデイリーは、神殿内で瞑想し、草原の大精霊に思いを馳せる……長い時を経て、元弟子が大精霊と会うとはなんともロマンチックなデイリーです。
……が。ここからが少し悲しいお話。
羽ばたく案内人も星の子と一緒に草原の大精霊と会うのかと思いきや、羽ばたく案内人は草原の大精霊と対峙するムービーには登場しません。その代わり、ムービー終了後(≒星の子が瞑想から戻ってきた後)、羽ばたく案内人は草原の大精霊の像に蝶々使いのエモートを披露します。
公式日本語生放送によれば、大精霊たちは時空を超えた別の場所へ飛ばされており、星の子の時代には“いません”。星の子は神殿(の特定の場所)で瞑想すれば、大精霊たちに会えることから、星の子には時空を越える能力があると判断できます。
では、精霊たちはどうでしょうか?
草原の大精霊と対峙するムービーに羽ばたく案内人が出てこなかったこと、大精霊像に向かって、習得した(であろう)エモートを披露したことから、精霊たちは瞑想はできたとしても、精霊たちの瞑想に時空を越える能力はないと考えられます。
精霊たちが時空を越えられない様子は、既に巣づくりの季節でも示唆されていました。季節のクエスト中に、巣づくりの案内人が雨林の大精霊に思いを馳せるシーンはあれど、雨林の大精霊と対峙するシーンはありません。
精霊たちは、きっと、わかっているのでしょう。闇に囚われていた≒一度は命を落とした以上、大精霊たちと直接相対する術は、残されていないのだと。

羽ばたく案内人が大精霊の像に披露した蝶々使いのエモートは、光染料を集める「採取」のエモートでもあり、光を呼び寄せる「導き」のエモートでもあります。羽ばたく案内人は、何を呼び寄せたかったのでしょうか?私は思うのです。羽ばたく案内人が本当に呼び寄せたかったのは、蝶々ではなく、草原の大精霊ではないかと。
「お師匠様、見てください。私も……私にも、できましたよ……!」
元弟子として、誇りと想いを胸に生き抜いたことを、伝えたかったのかもしれません。
推しの話をしようじゃないか!書庫の大精霊を考察したい!
私の大好きな推し精霊・書庫の大精霊を中心とした考察です。でもこれ、よく読んだら、映画Skyの考察ばかりじゃないか!!(今言うことか?)
顔色を変えない“現代の預言者”

アニメ前篇 第一章での一コマに着目。王都の小塔から光が消え失せそうになる様に、精霊たちが目を丸くして驚いています。その中で一人だけ、目を細めたままでいる書庫の大精霊。その様子はさながら、
「ついに来たか……」
と、呟いているかのようです。
皆と同じ方角を見つめて足を止める書庫の大精霊。彼女もまた、小塔から光が消え失せそうになる様を、初めて目撃したのでしょう。
しかし、表情を見ると、書庫の大精霊だけは目を丸くしていません。
アートブックによれば、書庫の大精霊は“現代の預言者”。アニメ前篇 第四章で、精霊たちの過去を読み取る力を持つことも明らかとなります。つまり、書庫の大精霊は、過去を読み取る力を駆使して、この先に起こり得る未来を予見できたかもしれないのです。書庫の大精霊は、ずっと前から滅びを予感していて、統治者や他の大精霊たちに、近い将来には王国が滅ぶと、進言していた可能性だってあります。
“現代の預言者”である彼女の目には、このとき、どのような景色が映っていたのでしょうか……
対話のない会話

アニメ前篇 第三章、統治者の心理状態が垣間見えるシーンに、書庫の大精霊も登場します。闇の脅威に四方を囲まれ劣勢を強いられた状況に、統治者が苦しみを滲ませる中、書庫の大精霊は静かに現れます。何かの気配を察したであろう統治者は、自らの視線を書庫の大精霊へと向けますが、その場から歩を進める様子はありません。このときの統治者をよく見ると、マスク中央部分が僅かに青く光る様子を確認できます。

私は、統治者もまた、書庫の大精霊と同じように、過去を読み取る力を持っていたのではないかと考えました。事実、第三章の書庫の大精霊は、ダイヤ部分が輝いておらず、何も力を使っていないとわかります。
相手の記憶さえ読み取れば、口で……言葉で語り合う必要もないのです。
言葉などいらない、交流すら必要がない、相手の記憶を覗き込めば解決してしまう……対話のない会話が日常と化していた、悲しき証拠かもしれません。
終わりを司る者の役目とは
ゲームの書庫の大精霊にも注目しましょうか!まずは、書庫の大精霊と対峙するムービーから。

星の子を呼び寄せたあと、思い出したかのようにダイヤを取り出す書庫の大精霊。

ダイヤに願いを込めるかのように祈りを深め、覚悟と共に目を見開き、顔を上げたようにも見えます。
ここで思い出したいのが、書庫の“エリア”としての意味。書庫とは、後の世代のために、数多の貴重な情報が保管された場所です。ここで言う“後の世代”とは星の子のこと。書庫の大精霊と書庫の精霊たちは、まだ見ぬ未来の救世主たちへ希望を託すべく、自分たちの生きた証を書庫に残したとも考えられます。書庫の大精霊は国の滅び≒国の終焉を悟ったその日から、終わりを司る者としての務めを始めたのでしょう。
終わりといえば、もう一つ重要な出来事があります。それは、いにしえの追想・大精霊の間での出来事です。

原罪のダイヤを破壊して、事態を収束させようとしたと思われますが、そもそもとして、誰がこの巨大なダイヤを砕くと言い出したのでしょうか。統治者の心の拠り所であり、支えとなったであろう巨大なダイヤを砕くとは、重大かつ重要な決断であったに違いありません。国においても、統治者においても、非常に重要な存在となってしまったダイヤを砕くのですから、容易に決断できるものではないはず……
国の終焉を悟ったのは、誰でしょうか?常にそばに居たわけではなくとも、統治者と近しい場所にいた者は、誰でしょうか?終わりを司る者とは、あまりに過酷な立場ですね。
誰に敬意を表したのか?

今度はふたつの灯火の季節-前篇-、最終クエストから。諸事情により星の子の顔が隠れていますが、そこはどうかご容赦を。書庫の大精霊が敬意を表す楽師のエモートをしています。このとき彼女は、一体誰に敬意を表したのでしょうか?

他の大精霊たちが敬意を表す中、唯一星の子へ敬意を表さなかった彼女が、星の子へ改めて敬意を表したのか。或いは、記憶の燈に移された、精霊たちの記憶に敬意を表したのか……どちらが正解か、彼女に直接聞いてみたいものです。
記憶の燈に“嘘”を記録できる?記録の“改ざん”は?
後の世代のために残したはずの資料が、真っ赤な嘘だとしたら……そもそも、記憶の燈に“嘘”の情報を記録できるのでしょうか?

私は“NO”ではないかと思います。死した精霊から記憶を抜き取るシーン(※記憶の映写機・コメンタリー内の映像)や、アニメ前篇 第四章で、孤児が自らの記憶と向き合うシーンなどから、嘘を記録するのは難しいと感じたのです。
アニメ前篇によれば、記憶の燈に記録を書き込む方法は以下のとおりです。
- 顔や額など頭部にダイヤを身に着ける
- 祈る or 念じる
- 見えた記憶を光に転写する(≒記録する)
- 3.を記憶の燈のダイヤに移す
2.の工程は、特別な修行を重ねた者だけがなせる技かもしれません。アニメ前篇において、統治者や書庫の大精霊以外でこの技を使えるのは、ダイヤを頭部の飾りに身に着けている者(修行した者)だけと思われます。祈りとは利他の精神。利己を捨て去り、他者のために尽くす必要があるのですから……
当然のことでしょうが、死した精霊は話せません。生きていくうえで必要な光が体内から失われたり、暗黒竜に強襲され致命傷を負ったり、身体に結晶が生える病に脅かされたり……命を失った過程は様々なれど、命の鼓動が止まったのだとすれば、話もできなければ、何かを考えることすらできないはずです。
自分の考えを共有できなくなってしまった者から記憶を読み取るのですから、嘘のつきようがありません。仮に、死した精霊が何らかの嘘をついていたとしても、“嘘をついた事実”も読み取られるでしょうし、記憶の燈に嘘を書き込むのは難しいはず……
では、記録の“改ざん”はどうでしょうか?
改ざんとは、(ざっくり言えば)既にある記録を無断で書き換えてしまうこと。本件は、記憶の燈に移した記憶を、他者が無断で書き換えられるかどうかが焦点ですが、私の出した結論は“NO”でした。

記憶の燈へ記録を書き込むには、精霊たちの記憶、つまり、経験が必要です。過去を読み取る技を持つ者たちは、精霊たちが実際に見て・体験した経験を読み取っていますから、精霊たちが体験していないもの或いは妄想によって生まれた(頭の中だけの)思考は、映し出されない可能性もあります。
また、アニメ前篇ならびにゲームでは、記憶の燈の記録を上書きできる証拠が見つかっていません。2025年の陽光の日々で、瞬きのカメラから記録を取り出し、記憶の燈へ移す手法は見つかりました。しかし、移された記録を上書きする様子は見受けられません。
よって、(現時点では)記録の改ざんもできない、と判断しています。
考察のごった煮
ここから先は様々な考察をまぜこぜでお送りします。
①天空に浮かぶ“アレ”の作り方

左側のスクショは、アニメ前篇に登場した原罪の山頂の様子。浮いている建物の下側に、強い光が見えますね。この強い光の部分に、大きなダイヤがあるのです。そのダイヤとは、「原罪のダイヤ」のこと。大精霊たちは、国が滅ぶ原因となった(であろう)原罪のダイヤを破壊しようとしました。それが中央のスクショ……いにしえの追想・大精霊の間の様子です。決死の覚悟でダイヤに挑んだ大精霊たちの想いも虚しく、ダイヤには大きな亀裂が残っただけ……完全な破壊に至らなかった挙げ句、ダイヤからは大精霊たちを時空の彼方へと吹き飛ばすほどの大きな衝撃波が放たれました。衝撃波は原罪の山頂にあった建築物までをも尽く破壊。その結果、天空に浮かぶ城(右側のスクショ)が誕生したのではないか?と考えられます。
②たぶん、そういうことだよね。
ここ最近の考察で、私自身一番びっくりしたのがこの考察。陽光の日々のマークと、原罪の山頂に浮く城のようなもの(私はこれを“浮城”と呼んでいます)がとてもそっくりに見えたんです。

アニメ前篇の空を見ると、王都全体が闇の脅威に覆われた上、山頂の城から強大な光が発せられるだけで、太陽はおろか、本当の空模様さえわかりません。でも、浮城が太陽だとしたら?闇の脅威から王都を守る、最後のシンボルだとしたら?私は明確な否定の材料が登場するまで、浮城が擬似太陽であったと信じます。精霊たちが明日を信じるための、希望の光であったとも……
③このエモートの使い道は?
式典の礼拝者の「火を掲げるエモート」。このエモートに込められている意味をご存知でしょうか?

公式日本語生放送によれば、峡谷の大精霊の古いコンセプトが元になっているんだとか!当時のコンセプトには、峡谷の大精霊たちが2人で光を合わせて闇を消し去るシーンがあったそうで、これが後の「火を掲げるエモート」に繋がったというのです。
何人かの星の子たちと集まってこのエモートを使えば、通常よりも大きな円光が現れます。一人よりも二人、二人よりも三人……“皆”で力を合わせれば、闇の脅威を退けられたかもしれません。
④星座盤の“星座”は大精霊たちと関係があるかも?
わかりやすいところからいきましょう。

まずは「傘」。雨林の大精霊はヤマネコがモデルで、古いコンセプトアートを見ると傘を所持していたとわかります。

「マンタ」は想像に難くないでしょうが、草原。昔の草原の星座がマンタの形であることも、根拠の一つです。

捨てられた地が「闇の蟹」である理由は、なんとなく察しがつくと思います。エリアの至るところに闇の蟹がいますからね……

「王冠」は書庫ではないでしょうか?書庫の大精霊のムービー中に王冠の星座が登場すること、(アニメ前篇を観る限り)書庫の大精霊と統治者との距離が物理的に近いことが理由です。

「ハープ」に対応するのは峡谷!その根拠はギリシャ神話にあります。芸術・芸能の神アポロンが、堅琴(リラ)を持っているのです。是非、Web検索で「リラ 楽器」と調べてみてください。Skyのハープとよく似た楽器の画像が出てくるはずですよ!Skyにおける峡谷とは栄華と繁栄を極めた時期でもあり、小さな劇場や音楽堂など、芸術を楽しむ施設も建立されていますから、峡谷に芸術を象徴する神の持ち物が充てられているのでは?と考えたのです。

「墓石」は少し解釈の仕方に悩みましたが……孤島の大精霊が、元々書庫を統括していた(古い)設定があることから、終わりを意味する墓石を充てています。
ミニコラム 考察は十人十色
2025/08/03、6周年イベントの一環で行われたCreator Performanceのステージに登壇したMaelstorm氏の発言を、今でも忘れられずにいます。
-There is no 1 right answer. What it means to you will be different from what it means to
me. Instead, both of us are right.
-正しい答えは一つだけではありません。あなたにとっての意味は、私にとっての意味とは
異なります。しかし、私たち両方が正しいのです。(※翻訳機能による機械翻訳)

過ごしてきた季節・経験した日々・見つめた景色は、星の子の数だけ存在します。考察も同じです。考え方・捉え方が異なれば、例え同じテーマの考察でも、異なる結果が提示されるでしょう。
考察は十人十色で千差万別……Maelstorm氏は、そう言いたかったのかもしれません。
自分の考察が相手の考察と全く異なるとしても、「それは違う」「絶対にこうだ」と、自分の考えを相手に押し付けたり、相手の考え方を捻じ曲げたりしないようにしたいものです。
最後に
Skyを生み出してくださったthatgamecompanyの皆様がいなければ、今の私はありません。Skyを通して多くの方々と御縁をいただけましたことを、この場をお借りして、心より御礼申し上げます。
これからも、多く方に楽しんでもらえる考察を発表し、皆様と共にSkyの世界を楽しみたいと思います。
それでは、次の考察でお会いしましょう!またね!