前編

Sky Art Fest 制作裏話座談会 ✦ 前編

この座談会は、非公式ファンアート展示会『星の箱庭展(2025年4月)』に出展した5名により、Discordのボイスチャットにて行われました。回答は50音順です。

 

メンバー
 @akinoyume_sky アナログイラスト
 cotoritori@ctritrisky 羊毛フェルト等、立体作品
 sumi@skynosumi デジタルイラスト
 メイ@meme_o888 粘土・レジン等の立体作品
 らこ@rako_sky デジタルイラスト・シルクスクリーン

前編
 Q1・どんな風に作品構成を考えましたか?
 Q2・価格はどう設定しましたか?

後編(→こちら)
 Q3・梱包・展示でこだわった所は?
 Q4・作者イチオシ!お気に入り頒布物・展示物は?
 Q5・アートフェスで嬉しかったことは?
 Q6・今後作ってみたいものは?次回も参加したいですか?

 


 

Q1✦どんな風に作品構成を考えましたか?

 

秋✧ 今回「アートフェス」というタイトルだったので、印刷物よりも原画中心にしたいと考えていました。以前お試しで色紙を描いたことがあって、その後も何枚か描き溜めていたんです。それを撮影して「30枚くらい出します」と書いて応募しました。

秋✧ 出展決定後は、まずペーパーは作りたいと思って。これも前に投稿した商業区のスケッチから派生してMAPを作ることにしました。

あとはポストカードですが…これは来場者が予想以上に多そうな気配になってきたので、たくさん作れるものをと急遽決めた感じです。

 

 

cotoritori✧ 私は当初展示だけでと考えていました。頒布物を用意するのに同じものをたくさん作れる自信がなくて。でも記憶に残るものをお迎え出来た方が、お客さまはよりハッピーになれるよねと思ったんです。それで出来る限りのことをしようと、販売を検討しました。

頒布物は、これまで制作したファンアートで作り慣れているものを中心に構成しました。1つは羊毛フェルトのカニちゃんで、もう一つは月灯りのイヤリングです。

cotoritori✧ 2種類だと寂しいかなと考えたのがアクスタです。最初は、本物のフェルト作品と並べるとアクリル印刷物はちょっと色褪せて見えるのではと不安もありました。

そんな時、アクスタの台座に芝生をつけられる業者さんを見つけて。私が作品を撮影する時も芝生の上に置いたりするので、そのまんま再現できる!と思ったんです。それで今回は、凱旋の大競技会の際に撮影した作品を選んでつくりました。

 

頒布物の種類は少なめでしたが、当日混乱せずに済んで良かったと思います。

 

 

sumi✧ 私の絵は、デジタルやペン画などバリエーションがあるので、それらが偏りなく活躍できる構成にしたいと考えました。

あと、Skyは色んな年齢層の方がいるので、ちっちゃい子でも購入できるように1つは安価なものをとチャームを作りました。

バックも前から考えていたので、今回がチャンスだ!と。

――(バックを入手したメンバーから)お買い物袋としても大活躍で、幸福感がすごかったです。

 

sumi✧ 男性には可愛すぎるデザインかなと心配していたんですが、購入して下さる方が多くてびっくりしました。
実は今回、印刷会社さんのバックの在庫を、あるだけ注文して空にしちやったんです。再販でまた私やっちゃうかも…と今から震えてます笑

 

 

メイ✧ 日頃メインにしている立体物をアートフェスでもと思いました。本当はいつもの粘土作品を中心にしたかったですが、短期間で多く作ることを考えてレジンメインにしました。

今までレジンはコーティングに使うぐらいだったので、最初は苦戦しました。硬度や、劣化しづらいものを模索して、カニちゃんキーホルダーが誕生しました。そこからマナティーを作ったり、指輪にしたり。世界が広がって楽しかったです。

――(他4名から)実はガラスなのではと思うぐらい、曇りの質感も活きてました。レジンで立体、どうやって作ったんですか?

 

メイ✧ 粘土で原型を作り、シリコンに粘土の型を移して、レジンを流し込んで作っています。
レジンの中には日光で黄ばんでしまうものや、固めた後の柔らかさにも違いがあるんです。今回使ったのは「星の滴」みたいな名前の…

 

――お店で見たことあります!お高いのでは…!?

 

メイ✧ お高いでございました笑。買い足すたびに心臓がギュッと。あれを3本…容量はすぐ思い出せませんが、結構大きいやつを使っています。

 

――プロ意識がすごすぎます涙

 

 

らこ✧ 私、11月6日まで頒布物が1つもなかったんです。10月末まで試験勉強があって。出展者Discordに素敵な作品が上がるたびに、まずいぞとパニックでした。

凝ったものは最初から諦めて、その分しっかりデザインを考えてたくさん作れるものをと、シルクスクリーンを選びました。加熱するとモコモコになるインクや、艶加工ができるものとか、面白い素材を扱うスリマッカさんという会社の工房で制作しています。

 

巾着の柄で悩んでいた時、11月5日深夜にまやかしさん(@mayakashi_sky)が「ワタシたちはみんなを楽しませる側なんだからッ」ってスペースでお話しているのを聞いて。みんなに届くデザインって何だろう…と考えた時、みんな最初はすずめちゃんの姿だった訳だから、これなら共感を生むかもと思いついたんです。すぐにデザインを作り、翌日の朝スリマッカさんで制作させてもらいました。

 

正直、他に選択肢がなく、限られた時間で辿り着いたのが今回の構成です。

――インクモコモコ動画、感動して家族にも見せちゃいました。

 

らこ✧ 私は冷や汗をかきながらポストしてました笑

 

――アイテムの色も統一されていて、すごくブランディングされているなと思っていました。

 

らこ✧ 色数を増やし過ぎるととっちらかった印象になると思って。青、白、生成りとSkyらしい色に絞ろうと決めて走りました。

 

 

Q2✦価格はどう設定しましたか?

 

秋✧ 一番迷ったのが色紙でした。「色紙 値段」で何度も検索したりして。最終的に一律1,300円にしましたが、準備段階では「これに千円も出してもらえるのかな」と思う日もあれば「時間をかけたんだからもう少し上げたい」という時もありました。

結局はポストカードを作ると決めた時、販売上限額(10万円)におさめるために、「ポストカード○部×○○円」を何パターンも計算して、相対的に色紙の価格を決めた感じです。

――かなり悩まれただろうなと思ってました。

 

秋✧ 「非営利」についても色々考えました。イコール原価ではないよね、とか…。直筆の価値を解った上で「この値段でも欲しい」と思って下さる方に渡って欲しいという気持ちもありました。

 

 

cotoritori✧ 月灯りのイヤリングは、ほぼ素材原価で販売しました。それでも2,000円、割高に感じる方もいらっしゃるかもしれない、と少し不安を感じていました。

 

――そんな、天然石ですし、手間を考えたらもっとのせなきゃです!

 

cotoritori✧ そこはやっぱり(個人的な気持ちで)難しかったですね。

逆に羊毛のカニちゃんは、材料費はあまりかからないので値段を付けるのが難しく感じました。今回500円としたのは、お会計でキリがいいという理由でした。
100 円でもいいかなって思っていたんですけど、親しいフレンドさんたちから頂いた様々なご意見を参考にして500円にしました。

 

――カニちゃん1つ、作るのにどのくらい時間がかかるんですか?

 

cotoritori✧ 以前通話をしながら測った時は、1個2時間ぐらいでした。もちろん集中力や状況によって違うとは思います。

cotoritori✧ アクスタは発注代未満で、こちらも500円にしました。フェルト(本物)よりアクスタ(写真)が高いと手に取りづらいかもということと、カニちゃんを500円にした後ろめたさもあったので、バランスを取った感じです。

 

補足ですが、カニちゃんの値段に後ろめたさを感じたのは、初めてのファンアートの販売で値段を どうつけたら良いのか不安だったからです。決して皆さんに対して黒字で作品を売ることがダメと言うつもりは無いんです。

非営利といっても様々で、例えば NPO法人でも労力や人件費を含めて収支の計算をして活動していると思います。次回以降のアートフェスでも悩む方はおられると思いますが、儲けすぎかもと不安になりすぎなくても良いかもと、個人的には思っています。運営さんからご案内されたルールの範囲内であれば、あとは楽しむことが1番かなと。

 

 

sumi✧ 私は、先に印刷物は全部注文しちゃっていて、そこから何を何個持っていこうと決めるつもりでした。価格は計算しやすいワンコインで。お客さまも払いやすいですしね。

sumi✧ 本の値段が難しかったです。お品書きを出した後も、もう少し下げるべきか迷ったんですが、そうすると「労した時間に対する値段」を度外視することになりますし…。

でも最後は「一人でも多くの方に渡るように」を一番に決めました。遠くから来られる方、しかも当日は長時間並んで入ることになった方ばかりだから、少しでも良い思い出を持って帰ってほしいなと。

 

チャームの100円は、販売上限額ぴったりにするためでもありました。最終収支は原価ちょうどか、少し低いくらいです。

 

 

メイ✧ 値段はDiscordでの動向を観察しながら決めました。500円くらいで基本設定をして、それより作るのに時間がかかるかで調整しました。でもいっぱい作りたかったので、なるべく値段は抑えた…つもりです…。

結局完売で、「売り切れてしまいました」って言った時のお客さんの顔見るのがつらかったです…もっと作れば良かったなと。

 

――でも1つ1つ磨いたりとか、大変ですよね。カニちゃんもお目目一つで表情がすごく変わる作業ですし…メイさんは大成功ですよ!

 

メイ✧ 意外に工程踏んでます 涙。褒めて貰えて…涙腺が…涙涙

らこ✧ 私も金額内でたくさん持っていけるように、それと1つは100円商品をと思ってシールを作りました。

ワンオペだったのでお会計のしやすさも考えました。たくさん対応するうちに簡単な計算も出来なくなってくるのでよかったです。お客さまも小銭を準備して下さったり、ご協力いただけて助かりました。

 

あとはお子さんでも買えたらいいよねと。大人の500円とちっちゃい子の500円はやっぱり違いますし…「どの年代でもこれなら買えそう」を目指しました。

らこ✧ 出展者が一番悩んだのが値段付けだと思います。次に参加したい方も含めて、きっとみんな知りたいですよね。

Discordで色んな意見を見られたのはありがたかったです。みんなで悩んで考えるっていうのが素敵で、一緒に作っている集団だなぁと強く感じました。

 

 

→ 後編へつづく

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